RHODESIA 城島健司 BL小説
言葉どおりの欲望なんかぜんぜん感じさせない眼をして囁く。「だけど、それじゃなんのために人間には言葉があるんだよ…っ、俺は鈍感だけど、だったらなおさら、ちゃんと言葉にして言えよっ」。ミニバーから何かを取り、すぐにベッドに戻ってくる。「……ああ」。
徐々に力をいれてくる零一郎の手を掴んで愛瀬は哀願した。
今度はしっかりと、やわらかいものが唇を覆った。恐怖じゃない。
ましてや今の自分の状況では。ディロンはハーコンを一瞥し、ルナラータのあるはずの方向に、遠い視線を投げる。今口を開けば、とんでもなく恥ずかしい懇願をしてしまいそうだった。はっきりいって、天文関連のことを除くと、校内に貼り出されている掲示物で関心があるものといえば、定期テストの範囲表とクラス割りくらいなのだ。身体のあちこちが、熱い。でも……じゃあなぜ、僕は抗(あらが)わない?いくら明確な体力差があるとはいえ、抗って抗えないことはないはずだ。「口……きけなかったよ。あいつが電話ボックスばんばん叩いてたときは、怖くて声が出なかった。ジェレミーが来てくれて、『コヨ』って呼んでくれて……今度は安心しすぎて、声、出なかった……」。
「たぶん、もうダメだよ。コンテスト出場者の受けつけ締め切り日って、今日の一限目の休み時間までだったんだ。そして、いったん出場を希望したら、なにかよっぽどの理由がない限り、たとえば入院するほどの怪我とか病気とかね、辞退及び欠場は認められない。もし出場しなかったら、厳しい罰があるらしいよ。……あと一分もしないうちに休み時間が終わる」。
無言で俺を見下ろしていた廣岡は、唐突に顔を寄せて唇を触れ合わせた。撫でたりこすったりして、ようやく中指が入った。レオンの公正で誠実な態度が、ミサキには何より好ましく思えたし、敵なのに身近に感じられたのだと、はにかむように見つめ返した。なのにまるでスイッチが入ったように全身が過敏になる。かすれた声で、ぬれたまなざしで、ふるえるように海は言った。「えと、それって、仕事が休みの日とか、俺と会ってくれるってこと?」。
ボーイズラブ小説作品紹介
大学生の雪耶は富豪の友人に身代わりを頼まれ、ヨーロッパの海をクルージングする客船の旅をすることに……。 富豪の息子として振舞う雪耶に、戯れの恋を仕掛けるギリシャ人の大富豪、セフィエス・パパンドレウ。 彼との束の間の関係は、旅が終わればすべて消えてなくなるはずだった。 しかし、昼と夜と情熱的なセフィエスにすっかり魅せられた雪耶はいつしか本気で恋をして――!?
タイトル:偽りと情熱のクルーズ
著 者 名:上原ありあ
レーベル:ダリア文庫e
発 行 元:フロンティアワークス
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