ビロ闇 岡本健一 ボーイズラブ文庫


「もう言わないよ。だって、せっかく……」。「なんだ?」。「いいから、じっとして」。けれど、現実の冬星さんなら、絶対にこんなふうに無様に倒れている自分に『大丈夫か』と駆け寄ってくれるだろう。

逃げるなんてもってのほかだと寿に忠告されていたのに、華南はそれをすっかり忘れていた。こ…の男…。「あ、うん――ごめん、ブツブツ言って……」。その瞳は薄いスカイブルーだった。前を刺激されたことで痛みが分散して、宝に中を抉られる苦しさも少なくなり、芙由希の身体の強張りが緩んでいく。「そんなん、彼女とは別もんや。せっかく女の子から誘ってくれてんのに、断るなんてめちゃ失礼やんか。そんな鬼のようなことは俺にはでけへん」。

僕は嫌々薄目を開けた。

頬がかっと熱くなって、居ても立ってもいられなくなる。あまりにも不測の事態に、鉄壁の笑顔も崩壊していた。

桐谷の手の中のものがどうなっているのか、成は知っているのだろうか。しっとりと忍びこむように俺の唇を包みこみ、優しく撫でさすり、やんわりと押し開く。そんな恥ずかしくも浅ましい欲望を最後に、俺はついに意識を手放した。真っすぐここへ来たとわかる格好で、こんな時間に一人、自分の本来の部屋へ帰って行く。見つめることに、見つめられることに耐えられなくなったのか、海はゆっくりと目を閉じた。そうやって、どれくらいの時間睨み合っていただろう。「ぅ……っん……」。


ボーイズラブ小説作品紹介


兄の結婚にショックを受けた大学生の倉橋夏彦は、バーで気分が悪くなった所を知り合いの政岡敦行に助けられる。翌朝、気づくとそこはホテルのダブルベッド。介抱してくれた敦行にキスされそうになり、驚いて拒絶するが、なぜか体は感じてしまい……!「子猫の教育」。の脇役・敦行&夏彦の、身も心もとろけるラブレッスン。電子書籍書き下ろしで登場!

タイトル:とまどう恋のレッスン
著 者 名:神香うらら
レーベル:講談社X文庫、 ホワイトハート
発 行 元:フロンティアワークス

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